漢方薬はインチキ
 漢方薬は生薬だから…とか、数千年の歴史の中で淘汰されてきたとか、まことしやかに言われます。しかし、漢方薬の有効性と副作用については、今だかつて一度も科学的に検証されていません。漢方薬が存続するのは、中国に近代医学や科学が芽生えなかったに他なりません。ヨーロッパにも漢方と似た「ギリシャ医学」が存在しましたが、科学の勃興とともに姿を消しました。
 科学的検証とは「プラシボ対照・無作為・二重盲検法」をさします。例えば、新しい頭痛薬の有効性や副作用を検証するには、頭痛持ちの患者さんをくじ引きで(無作為に)2群に分けます:対象となる患者さんの数が多いほど一般に検証の精度が高くなります。そして、片方の群の患者さんには新薬を、そして、もう一方の群の患者さんには外観は新薬と全く同じで薬効のない偽薬(プラシボ)を内服してもらいます。また臨床試験に参加する医師も、どちらが新薬でプラシボか知らされません(二重盲検)。こうして、主観を排除した条件下で両群間で有効率や副作用に差があるかを比較します。偽薬でも3割くらいの人に効果があります(=プラシボ効果という)。したがい、新薬を有効と判定するには偽薬より有効率が高くなくてはなりません。副作用もしかりです。
 漢方薬を処方する医師は主観的経験、そしてメーカーの配る科学的根拠のないマニュアルを基準にするわけで、病気が良くなったとしても、それはプラシボ効果によるのか、薬効によるのか、あるいは自然治癒なのか客観的に判断のしようがありません。科学を基盤とした診断学と治療学を学んだはずの医師が、どうして未証明の呪術と同じレベルの医療を実践できるのか、到底理解できません。


肺癌検診は有害
 肺癌検診を実施する自治体は多いのですが、検診の有用性は否定されています。欧米で肺癌検診の大規模な臨床試験が行われました。いくつもの人口集団を対象に被験者を無作為に「肺癌検診を受けてもらう群」と「検診を受けない群」に振り分け、5〜10年経過を観察しました。検診を受けた群では、いわゆる早期肺癌の発見率が激増しましたが、肺癌による死亡率は減少しませませんでした。このことは検診により「放っておくと死に至らしめる肺癌を発見できない」ばかりか、「放っておいても無害な肺癌を発見する」ことを意味します。換言すれば、肺癌検診を受けても命拾いすることはなく、不必要な手術を受けるチャンスが増えます。また、不必要な被爆、そして心配事を増やさないためにも肺癌検診は受けないほうが得です。


インフルエンザ
最新のインフルエンザを概説します。
 毎年、小児の約20%、成人の5%がインフルエンザに感染しますがほとんどは自然治癒します。犠牲になるのは、慢性の心臓や肺疾患をもつ高齢者と1才以下の乳児です。
 インフルエンザ・ウイルスは3種類(A、B、C型)あり、AとB型のみが大流行します。A型インフルエンザは2つの表面蛋白、ヘマグルチニン(Hと略される)とニューラミニダーゼ(Nと略される)の違いにより分類されます。Hは15種、Nは9種類あり、その組合せでH7N7とかH3N2と呼ばれます。ヒトからヒトへ感染するA型インフルエンザ・ウイルスは、H1、H2とH3、そしてN1とN2だけです。B型インフルエンザは一種類だけです。
 野生の水鳥からは、A型インフルエンザHとNすべての型が検出されています。インフルエンザ・ウイルスは、哺乳動物と鳥類を宿主に遺伝子を変異あるいは組換え、絶えず進化しています。中国南部はヒト、豚、野鳥そして家禽類が密集し、インフルエンザの繁殖所で、新型のインフルエンザ・ウイルスはここで発生し、世界中に広まります。
 話題の鳥A型インフルエンザH5N1は、鳥に強い毒性をもちますが、ヒトには感染しないと考えられていました。最近、鳥インフルエンザのヒトへの感染例が発見されましたが、今のところ、ヒトからヒトへの感染はありません。しかしながら、専門家達はヒトからヒトへ感染する新型鳥インフルエンザ・ウイルスの出現は間近いと考えています。
 ワクチンは、鳥の有精卵中でウイルスを増殖させ製造されています。ワクチン製造は有精卵の供給に依存し、非常に時間がかかるため流行時には対処できません。また、鳥インフルエンザがヒトで流行したら、従来の方法ではワクチンを製造法できません。なぜなら、鳥インフルエンザ・ウイルスは、有精卵を死に至らしめるからです。有精卵に頼らず、迅速に流行株に対しワクチンを製造する技術は確立しています。しかし、この方法は遺伝子組換え技術を用いるので、副作用発生時の補償問題のため、製薬会社は製品化しません。
 最近、AとB型インフルエンザに有効な抗ウイルス薬、タミフルが開発されました。非常に安全な薬で、小児への投与も問題ありません。インフルエンザ様症状を呈して48時間以内に内服します。また予防効果はワクチンよりはるかに高く、ハイリスクの高齢者に対しても、ほぼ100%の予防効果が示されました。健常人でも、インフルエンザの患者さんに接した後、すぐに内服するとほぼ100%予防できます。鳥インフルエンザに対しても有効です。

文献 Lancet 362:1733, 2003、 Science 302:1519, 2003


尿管結石、痛いときは水分をひかえる
 尿管結石と診断されるとたいてい「排石を促すために水分を大量に摂るように指示されます。しかし、これは逆効果で、排石されにくくなるばかりか、痛みを助長してしまいます。1980年以前の教科書にはそのような記載があったのかもしれませんが、現在では非常識です。尿管結石で痛み発作があるうちは水分を控えてください。最近、前立腺肥大症の薬が排石を促すことが報告されています。
 結石が排石されてから、再発を予防する上で水分を多く摂ることは絶大な効果があります。


風邪薬は有害無益
 風邪は約150種類のウイルスによりひきおこされる疾患です。かぜ薬(市販のルルやパブロン)や抗生物質を服用しても風邪が早く治ることはありません。医師が処方する薬も同じです。それどころか脳症(インフルエンザ脳症)、皮膚粘膜のただれ、そして尿閉など重篤な副作用をきたすことがあります。中でも「インフルエンザ脳症」は、以前はインフルエンザ・ウイルスが原因と考えられていましたが、何と、かぜ薬に含まれている解熱・鎮痛剤が原因です。
 風邪あるいはインフルエンザにかかった時「かぜ薬脳炎」ならないためにも、かぜ薬は服用しないで下さい。
 風邪に対しても前記の抗ウイルス薬が有効です。お問い合わせください。


膀胱炎では水分摂取をひかえめに
 膀胱炎にかかると「水分をよく摂るように」いわれますが、これには根拠がありません。水分を多く摂ると膀胱粘膜の自浄作用が低下し、また薬の尿中濃度が薄まるため治りにくくなります。また、つらい排尿時痛を何回もがまんしなくてはなりません。膀胱炎は抗生物質で簡単に治る病気です。水分を多く摂る必要はありません。お薬は3日間内服します。心配だからと長く内服するとかえって再発が多くなります。年3回以上膀胱炎かかる場合、予防的に抗生物質を服用します:安全で有効な方法が確立されています。
 膀胱炎を予防するために「刺激物をさける、冷やさない、小水を我慢しない、性交の後に排尿する、クランベリージュースを飲む、排便後、前から後ろへふく」などといわれますが、いずれも全く根拠がありません。


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