最新のインフルエンザを概説します。 毎年、小児の約20%、成人の5%がインフルエンザに感染しますがほとんどは自然治癒します。犠牲になるのは、慢性の心臓や肺疾患をもつ高齢者と1才以下の乳児です。 インフルエンザ・ウイルスは3種類(A、B、C型)あり、AとB型のみが大流行します。A型インフルエンザは2つの表面蛋白、ヘマグルチニン(Hと略される)とニューラミニダーゼ(Nと略される)の違いにより分類されます。Hは15種、Nは9種類あり、その組合せでH7N7とかH3N2と呼ばれます。ヒトからヒトへ感染するA型インフルエンザ・ウイルスは、H1、H2とH3、そしてN1とN2だけです。B型インフルエンザは一種類だけです。 野生の水鳥からは、A型インフルエンザHとNすべての型が検出されています。インフルエンザ・ウイルスは、哺乳動物と鳥類を宿主に遺伝子を変異あるいは組換え、絶えず進化しています。中国南部はヒト、豚、野鳥そして家禽類が密集し、インフルエンザの繁殖所で、新型のインフルエンザ・ウイルスはここで発生し、世界中に広まります。 話題の鳥A型インフルエンザH5N1は、鳥に強い毒性をもちますが、ヒトには感染しないと考えられていました。最近、鳥インフルエンザのヒトへの感染例が発見されましたが、今のところ、ヒトからヒトへの感染はありません。しかしながら、専門家達はヒトからヒトへ感染する新型鳥インフルエンザ・ウイルスの出現は間近いと考えています。 ワクチンは、鳥の有精卵中でウイルスを増殖させ製造されています。ワクチン製造は有精卵の供給に依存し、非常に時間がかかるため流行時には対処できません。また、鳥インフルエンザがヒトで流行したら、従来の方法ではワクチンを製造法できません。なぜなら、鳥インフルエンザ・ウイルスは、有精卵を死に至らしめるからです。有精卵に頼らず、迅速に流行株に対しワクチンを製造する技術は確立しています。しかし、この方法は遺伝子組換え技術を用いるので、副作用発生時の補償問題のため、製薬会社は製品化しません。 最近、AとB型インフルエンザに有効な抗ウイルス薬、タミフルが開発されました。非常に安全な薬で、小児への投与も問題ありません。インフルエンザ様症状を呈して48時間以内に内服します。また予防効果はワクチンよりはるかに高く、ハイリスクの高齢者に対しても、ほぼ100%の予防効果が示されました。健常人でも、インフルエンザの患者さんに接した後、すぐに内服するとほぼ100%予防できます。鳥インフルエンザに対しても有効です。
文献 Lancet 362:1733, 2003、 Science 302:1519, 2003
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